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#036

2024.10.31

「実際にやってみる」からこそ見えるものがある。
様々な人との出会いや経験を通じて自分を深ぼる大学生活。

総合政策学部総合政策学科山下 さくら さん

大学入学当初から学内外で様々な挑戦を続ける山下さん。その原点にあるのは将来、自分がどこで、どう暮らすことがハッピーなのかを知りたいという思い。これまでに訪れた場所や人々との交流を通じて、大きな決断もした山下さんの大学生活について日進キャンパスでインタビューしました。


現場でこそ感じられる情報と度胸を得た「リサーチ・プロジェクト」。

愛知学院大学の総合政策学部では、1年生から社会や地域にある問題を学び、解決策を提案する力を身につける授業があります。「リサーチ・プロジェクト」と呼ばれる4年間必修の授業です。教室で学ぶ授業とは違い、実際に現場に出て、調査やヒアリングを行い、社会や地域の課題解決を考えるフィールドワークが中心です。

1年生のリサーチ・プロジェクトでは、アパレル業界が抱える環境問題に着目し、調査を行いました。国連貿易開発会議(UNCTAD)の指摘によれば、繊維・アパレルは環境汚染産業の第2位。自分も含めて若い世代がよく利用するファストファッションの大量生産と大量消費が、想像以上に有害な影響を環境に与えていたことに衝撃を受けました。その実態と解決策を探るため、繊維・アパレル業を営みながら、環境問題に積極的に取り組む愛知県内の企業2社を取材させていただきました。

1社目は一宮市にある大正12年創業の老舗企業、大鹿(株)です。一宮市を含む尾州は、古くより使わなくなった衣類を集め、反毛と呼ばれる専門の機械を使って綿状に戻す技術で、再び繊維に戻す文化が盛んなエリア。企業ではリサイクルウールブランド「毛七(けしち)」を立ち上げ、【資源を大切にする文化を、後世に残す】ことを第一に取り組んでいます。もう1社は、春日市に根付いて70年以上、クリーニング事業やコインランドリーを運営する(株)勝川ランドリーです。短時間かつ少量洗いで、乾燥・仕上げまで衣類と自然に優しい技術を提供。独自開発した環境負荷のない「海をまもる洗剤」を使用し、【洗濯で海を汚す時代を終わらせる】ことを使命に実践されています。


実際に製造や事業が行われている現場を見学させてもらうと、事業活動と環境問題、どちらも真摯に責任を持って取り組んでいることをダイレクトに感じることができました。単にニュースで見聞きして問題を捉えたつもりになっていた感覚と違い、現場を見たからこそ感じた課題や解決の糸口。問題を深く探って突き詰めていく作業に夢中になりました。私のチームはクラス発表を経て、学部の全体発表にも選出。高校時代は周りの目を気にしてやりたいことにも躊躇してしまうこともあったため、人前で堂々と発表できた成功体験は貴重なものでした。この経験で自信を感じ、挑戦するハードルが下がったように感じます。


「音楽で人々がつながる場」を作りたい!

小さい頃から音楽や歌が大好きで、大学に入ってからも地域イベントへの出演などを中心に音楽活動に取り組んでいます。人生を通しての大きな夢の1つに、人々がありのままの自分を表現できる「ごちゃまぜ音楽祭」を開催することがあります。 ただ「演者が演奏して、観客が聞く」だけじゃない、誰もが音楽を通して心を解放し自分を表現できる、そしてつながる、そんな音楽祭を作りたい。その思いが高じ、3年生のリサーチプロジェクトでは、音楽フェスをテーマに卒業研究を行っています。「表現について考える」岩田ゼミと「まちづくり・ひとづくり」をテーマとする村田ゼミの2つのゼミを受講。 特に、日本各地にある地域の若者発のローカルな音楽フェスに着目し、その成り立ちや地域や関わる人々に与える影響について調査を行っています。

▲名城公園キャンパスの隣りにある柳原通り商店街の夏まつりにて弾き語り。


▲20歳前後、自分と同世代の人たちが企画・主催をした音楽とマルシェの融合イベント「出旅 IDETABI」(⻑野県大町市)にボランティアスタッフとして参加。後日、主催の方々へのインタビューも実施しました。


▲絵画、音楽、舞踊、食、空間創りの”表現”をテーマとしたキャンプイベント「心躍る 街〜夕暮れの音楽祭〜」(兵庫県川⻄市)に運営として参加。音楽チームに所属し、音楽ライブの企画や当日の舞台装飾、照明操作などに携わりました。


▲研究の一環として⻑久手市にあるリニモテラス公益施設で、村田ゼミのゼミ生が携わる定期開催のイベントやその運営などを手伝っています。月1で開催中の「たき火を囲んでてつがくカフェ」は、学生と地域の人々が交流できる場となっています。


▲リニモテラスで生まれたご縁で、⻑久手市などで活動するクラシックバンド十弦響さんとのコラボライブが実現!いつもは一人で音楽することが多いため、誰かと音を合わせて奏でる楽しさ、面白さを実感した貴重な経験でした。


▲2年生の春学期のリサーチ・プロジェクトでは、日進市が抱える竹林放置問題に対し、イベントの企画を通して取り組みました。

▲2年生の秋学期に行ったリサーチ・プロジェクトでは、オリジナル曲のMVを制作。


自分もみんなも「笑顔で暮らせる」社会やまちづくりを知りたくて。

進路選択で総合政策学部を選んだのは、小さい頃からよく家族で参加していた農業体験や自然学校が影響しているように思います。場所はいつも都心から離れた自然豊かなところで、生まれも育ちも名古屋の私にとって、温かくて穏やかな雰囲気漂う景色にいつも癒やされていました。そしていつしか、自分は将来どこに住んで、どのように生きていきたいのかを想像するようになりました。高校生になるとその気持ちはより高まり、テレビを見る度に東京圏に人口も政治も経済も一極集中する危うさや、人口流出して衰退する地方の問題について強く興味を持ちました。こうした問題の本質を知って、向き合う学びをしたい。それが実現できる愛知学院の総合政策学部で学ぶことができ、とても良かったと感じています。


夏休みを利用して挑戦したのは、山形県高畠町への地域留学。

大学でアクティブな学びを経験するうち、授業とは違う新たな「何か」に挑戦したいと思うようになりました。それが「地域留学」でした。きっかけは疑似プログラムを体験した小学校からの友人との会話。いつでもどこでも挑戦し続ける彼女に刺激を受けました。大学生活にも慣れた2年生の夏休みに思いきって応募。場所は山形県高畠町。初めての東北。実際に行ってみるまでは、見知らぬ人たちと1週間、寝食を共にする生活に不安もありました。それでも挑戦しようと思ったのは、シェアハウス、音楽、農業といった興味をそそるキーワードが案内に書かれていたから。不安とワクワクが入り交じる中、名古屋から新幹線と電車を乗り継いで約4時間。日本各地から集まったメンバーは20歳前後の同年代をはいえ、学生もいれば生き方も様々。新たな挑戦の始まりでした。


様々な生き方を経た人たちのリアルな声で、次の一歩が見えた。

山形県高畠町は山や丘に囲まれた地形で、お米をはじめ、さつまいもやキャベツなどの野菜、りんごや梨といった果物の中でも特にぶどうの栽培とワインづくりが盛んな地域です。地域留学中は農家さんで、ぶどうや野菜の収穫などをお手伝い。大自然に囲まれた中、参加メンバーと同じ経験をするうち、それまで緊張していた心がするするとほどけていきました。関わってくださった大人の皆さんは、大学内での体験やアルバイトだけではなかなか出会う機会のない様々なバックグラウンドを持つ魅力的な人たちばかり。高畠町で農業を営み続ける人、新たな仕事にチャレンジしている人、東京で働いていて地元に戻ってきた人、高畠町をPRする地域おこし協力隊の人など、話をすればするほど自分の中にエネルギーが湧き上がってくるのを感じました。夢や好きな音楽をやりたい気持ちを諦めず、いろんな働き方や生活のスタイルがあっていい。胸の奥にずっと残る「どこで、どんな風に生きたいのだろう」という答えのヒントを見つけたようなかけがえのない時間でした。

▲地域留学終了後も何度か訪れている高畠町は、山下さんにとって「第二のふるさと」。出会った仲間とも度々再会し、近況報告や悩みを話せる大切な存在として交流が続いています。


企業で働く大人や学童の子どもたちと関わる中でアップデート!

新たな「何か」への挑戦は止まりません。2年生が終わる3月から3年生の6月まで週に1回、岐阜県可児市にあるキャンピングカーの販売を行う企業へインターンシップに行きました。ところが出社初日、カウンターパンチをくらったんです。それは人事代表の方からの「面接の時となんだか印象が違うね」という一言。面接でキビキビと話していた様子と違って、始まることへの高揚感からか、言動がふわふわとしていたようでした。そんな指摘は人生初。心にズシンと響きました。3ヶ月という長期間働かせてもらう以上、いち社会人としての自覚を持たねば。緩んでいた気持ちを代表の方に瞬時に見抜かれたのだと反省しました。アルバイトと違う仕事の厳しさにくじけそうになりながらも、親身に教えてくれた先輩たちのおかげで無事終了。自分のことを客観的に見つめ、気持ちを切り替えられるようになったのはインターンシップでのほろ苦い経験のおかげです。

▲インターンシップでは主に子ども向けのイベントの企画や営業サポートを経験。


また、大学生になった日から2年半以上続けていることがあります。学童のアルバイトです。これがなかなか難しい(苦笑)。率直な子どもたちには上辺だけの言葉は届きません。だからこそ正直に、本気でぶつかることが大切!…そう頭で理解しているのに思うように接することができない。他者とのコミュニケーションについては、大学入学当初から克服したい課題でもありました。

気の合う友人とだけ話していれば大丈夫だった高校生までとは違い、大学生になってからは自分とは異なる価値観や背景を持つ人とも多く出会い、話す機会が増えました。 楽しい反面、コミュニケーションがうまくとれず自己嫌悪に陥ることもあります。それは学童のアルバイトも同じ。 素直で正直な子どもたちに自分の痛いとこをつかれる怖さから、いつも一歩引いてしまいがち…。 自然と人気のあるアルバイト仲間のところに子どもたちが集まり、「私、向いてないかも」と心折れそうになる時もありました。1度は辞めようかと思うほど悩みながらも、思いとどまったのは、日々子どもたちにいろいろなことを気付かされ、学ぶことが多いこの時間が大好きだから。私には私にしかない良さや得意なことがある。指摘されたら素直に認めればいい。そう切り替えたら、子どもたちの言葉も周囲の様子もありのままを受け入れられるようになっていきました。自分から心を開けば、相手も開いてくれる、コミュニケーションの基本を子どもたちから改めて学んでいます。

▲アルバイト先の学童は山下さん自身が小学1年〜6年生まで通っていた思い出の場所。


▲2年生の時から他大学の授業を履修して単位が得られる「単位互換制度」にも挑戦!総合政策学部の授業も受けながら、名古屋大学、名古屋市立大学、愛知県立芸術大学、名古屋造形大学へ通って授業を受講しました。授業の内容やグループワークのやり方1つとっても様々な違いがあり、大きな刺激を受けつつ、愛知学院の良さも改めて感じました。


高校時代も今も、背中を押すのは担任の先生の言葉。

実は現在の進路選択に至るまで、高校生の時には随分と悩みました。好きな音楽をレベルアップするために専門学校に行くか、音楽を続けつつ大学で社会課題について深ぼるか、そもそも進学しない道を選ぶのか。当時の担任の先生に相談すると、こんな言葉が返ってきました。「今、興味のある道を選んで、それを仕事につなげていけばいい」と。興味があるのは音楽。だけど仕事につながるかどうかは分からない…。それでも自分で決めた道(進路)なら、それを正解にしていけばいいという先生からのメッセージは、挑戦しようかどうか足踏みをしそうになった時にいつも浮かんでいたように思います。憧れるだけで踏み出さなかったことも、やってみると案外できるとわかったのは挑戦したから。これまで大学生活で飛び込んできた数々の挑戦が後押しになって、3年生の秋学期から1年間休学することを決意しました。


大学生活、第2章がスタート!自分で自分の成長を楽しめるように。

「大学を休学してまでやるべきことなのか?贅沢すぎる!」。休学を切り出した時に父から言われた言葉です。親として当然の反応です。それでも全国を回りながら、音楽を通じて地域に住まう人々の日々を豊かにする方法を探りたい。この新たな挑戦を諦めることはできませんでした。このまま就職活動をしても、心の中に消化しきれない思いが残るのは歴然。やりたいことを実現するため、何をして・何を準備すべきかを必死で考えました。現状揃えられる必要な単位はすべて取得し、ゼミの岩田・村田両先生には復学後のスケジュールや休学中に取り組むことを相談して理解いただきました。両親には、改めて休学が必要な理由や思い、メリット・デメリットを折に触れて説明しました。休学中の経験は就職活動をすることになった際も役に立つことのほうが多いし、視野を広げて将来につなげる種まきの期間なんだ、と。休学中の在籍料、旅生活にかかる費用は自分で工面することも約束し、決意を伝えてから3ヶ月後、ようやく両親の許可がおりました。いつも最後には私の選択を尊重し、見守ってくれる両親。当たり前なことではないからこそ、とても感謝しています。

これから様々な土地でいろんな人たちと出会い、言葉を交わし、音楽を深める1年間は、大学生活の第2章のはじまり!挑戦すると自信が生まれるし、新たにやりたいことが浮かんだ時に踏み出しやすくなる。そのことを大学生活でたくさん経験できた今こそ、高校生の皆さんに心から伝えたいのは「最後に決めるのは自分」だということ。皆さんのこれからの「挑戦」を心から応援しています!

これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
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