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#042

心理学、アイヌ文化、地域創生、哲学、倫理など、興味を持ったらすべてのものに一直線の岩田さん。迷いに迷いながら学びを選択し、そして進学した愛知学院大学では、海外ボランティアでカンボジアへ、社会・地域連携活動で念願だった北海道へ、さらにゼミの取り組みでは禅と現代文化を融合したイベントの企画・運営に奔走する毎日です。たとえ上手くいかなくても、その悔しさを次のチャレンジへのエネルギーに変換し、成長と挑戦を続ける岩田さん。彼女が所属する文学部宗教文化学科のある日進キャンパスでインタビューしました。


好奇心旺盛だからこそ冷静に、「学んで良かった」と言える大学を選択したい。

「コレだ!」と思うと無我夢中になるのが私の性格。高校1年時には行動心理学などに興味を持っていたこともあり、心理学が学べる大学のサイトを色々と見ていました。というのも、私が通っていた高校はほぼ全員が進学。そのため進路指導も1年時から熱心で、主体的に進路選択をするための指導や後押しをしてくれる学校でした。こうして調べるうちにわかったのは、大学によって学べる心理学の分野が様々であること。そして統計学や苦手な理系科目が必要だということでした。「私には学ぶのが難しい学問かも…」と感じ、進路選択は振り出しに戻ってしまったのですが、担任の先生の影響で哲学・倫理の授業で面白さにハマったり、高校に隣接する市営図書館でポップ制作などのボランティア活動を行った時に図書館司書に憧れたり。さらに地域の人たちのために、様々な大人たちと活動する中で地域創生も気になったり。興味があちこちに揺らいでいた最中、進路選択を揺り動かすことになる漫画『ゴールデンカムイ』に出会ってしまったのです。

3年生になり、完結を機に漫画から関連書籍までむさぼるように読んだ私の心は、すっかりアイヌ文化とその歴史を育んだ北海道のとりこに。その熱と志望校選びが重なり、札幌の大学へ進学しようと思うまでになっていました。当然ながら、家族は反対。進学の目的が「学ぶ」以上に「北海道に行く」ことに重きを置いていることを見抜かれ、4年後「ここで学んで良かった!」と自信を持って言えない自分に気付いたのです。だからと言ってアイヌ文化や北海道への熱が冷めたわけではなく、別の形で行こうと発想を転換。進学先はあらためて愛知県内で探すことにしました。


誰でもない「自分」が納得できる進路を探せば、進むべき道はひらく。

志望校は2つ。1つは興味を持っていた地域創生や地域政策を学ぶ学部学科のある大学。もう1つが受験サイトで知っていた愛知学院大学です。以前は心理学部のみチェックしていましたが、幅広く見るうち、哲学も倫理も漫画も好きな私にとって興味深い、文学部宗教文化学科が目に留まったのです。多くの国や地域に深く関わる宗教は、様々な歴史や文化を深堀りできる面白さがある、まさに「ここでしかできない学び」。卒論のテーマを見て、アイヌ文化も研究できるかもしれないという期待も膨らみました。さらにサイトを見ていくと、社会・地域連携活動「シャチ活」という大学の取り組みがあり、そこに北海道・厚沢部町での地域課題解決を目的とした活動の様子が紹介されていたのです!驚きと同時にワクワクが沸き起こった私の心は、愛知学院にロックオン!! 北海道への進学を断念した分、興味のある分野で4年間学び切るため、やりたいことを叶えるため、自分が納得できる進路を選択したい。率直な気持ちを担任の先生に伝えました。

いよいよ志望校を決める三者懇談の日。担任の先生から親へ、愛知学院大学で学びたいという私の思いと、現状の成績を踏まえてもう1つの志望校よりも確実かつ、学びがいのある進路であることを説明していただきました。いつも物静かな先生の熱弁に嬉しくなりつつ、親は先生からの言葉とともに、愛知学院の知名度・就職率の高さに納得。ちょうど指定校推薦の条件にも合ったため年内に受験・合格することができました。


ボランティア活動を通じて初海外へ!喜びとは裏腹に、現地で痛感した準備不足。

大学生になったら勉強もそれ以外の経験も数多くチャレンジしたいという思いから、「ICV’s国際協力ボランティア部」に入りました。主な活動はカンボジアの子どもたちの教育支援を目的に、募金活動や文具類などの寄付による物的支援、毎年希望者は現地に赴いて活動もしています。海外未経験ゆえ「カンボジア(アンコールワット)に行ってみたい」という純粋な興味から参加を立候補しました。しかし、現地への交通費などは実費。工面するために友人を誘って温泉地での1ヶ月間の住み込みアルバイトを始めたものの、いきなり社会の洗礼を浴びることになりました。立ち居振る舞い、体力面、人間関係など、人生で初めて経験する厳しさの数々に、涙ながらに家族に電話したことも(苦笑)。修行のようなアルバイトで心身を鍛えられ、無事にカンボジアへの資金調達が完了(今となっては笑えるいい思い出です)。1年生の春休みに渡航しました。

10日間の現地活動で痛感したのは、あらゆる面での準備不足でした。目的を持って活動しているのに、自分の中でのシミュレーションがぼんやりとしていたり、細かい部分の情報が把握しきれていなかったり。初めての海外で、コミュニケーション能力や異文化への適応力なども十分ではありませんでした。私たちと現地の子どもたち双方にとって、意義ある時間にするためにも、いかに「準備」が大切かを実感する貴重な機会になりました。

▲帰国後は、カンボジアや教育支援活動について興味関心を持ってもらうために、現地で調達した雑貨を販売しました。


足りなかった部分に目を向け、段取りし、心揺るがす経験につながった「シャチ活」。

「興味のままに動くのではなく、何を果たして、そのためにどんな行動をして、何を準備すべきかを考える」。海外ボランティアで今後すべての挑戦に通じるこの考え方を実感したことで、念願だった「シャチ活」への挑戦に弾みがついたのかもしれません。2年生の4月、シャチ活の活動予定と履修すべき授業を確認した上で、登録・応募しました。

「シャチ活」とは、社会活動の「シャ」と、地域連携に加え、知る意味での「チ」をあわせて、シャチ活という愛称で呼ばれている愛知学院大学の社会・地域連携活動。中でも高校生の頃から参加を切望していたのが、北海道厚沢部町(あっさぶちょう)の地域課題に取り組むプロジェクトです。函館市の西に位置する厚沢部町は総面積の83%が森林で、農業・林業を主要産業としていますが、過疎化は長年の地域課題。プロジェクトでは、現地で地域の産業や生活を体験するファームステイを経験する中で、厚沢部町の魅力を抽出し、広くPRするための内容と手法を考え、実施します。参加者(6名)が確定すると、9月に行うファームステイの活動とPR方法について計画を開始。プロジェクトのゴールである「愛知県の人たちに厚沢部町のどんな魅力をどう伝えるか」を軸に特産品を販売するマルシェに加え、印象に残るPR方法について話し合いました。その結果、厚沢部町がメークインの発祥地であることから出たアイデアが「芋掘り体験」。大枠が決まったことで、ファームステイでどんな情報を収集し、何を知識・経験として持ち帰るかを6-8月まで会議を重ねて固めました。

そして、念願だった北海道へ。皆で厚沢部町を訪問すると、町の活性化に熱心に取り組む方々が町内について詳しく説明してくださいました。そして特産品であるメークイン、ブロッコリー、ネギ、お米などの農作物が育つ現場を知るため、早朝5時から広大なブロッコリー畑で収穫を体験。爽やかな気候と青空のもと、汗をかきながら北海道の大自然を全身で感じた経験は、今でも目に浮かびます。ほかにも地元の食材を使った料理教室、石窯ピザの体験、道の駅の見学などを行う中で、地元の人たちの情熱とあたたかさに触れ、気づけば厚沢部町の大ファンになっていました。


企画・発信力が向上したシャチ活。1つのゴールに向かって様々な人との絆が深まった。

1週間のファームステイもあっという間に終わり、ここからがプロジェクトの本番。現地に行って初めて知り得た情報も多く、マルシェとメークインの芋掘り体験に加え、厚沢部町への興味が高まるように農作業の経験談を披露することにしました。さらに地元の農家さんが育てた食材と愛知の名物きしめんを盛り込んだコラボ弁当の販売も行うことに!事前計画から変更や調整はあったものの「厚沢部町を知ってもらいたい!」というメンバーの思いが1つになり、より強い絆を築くことができました。


これまで授業のグループワークなどでチームで取り組むことはありましたが、同じ目的に向かって仲間が集まり、知恵を絞って、長期にわたって取り組む経験はありませんでした。プロジェクトの進行を見守ってくださった先生は、準備段階から細やかなサポートで導いてくださり、自分たちのやりたいことをのびのびと実施することができました。見知らぬ土地での共同生活も安心して取り組むことができ、今までにない新鮮な体験と仲間ができた喜びはかけがえのないものになっています。そして、地元を心から想うカッコいい大人たちに出会えたことで、視野がぐっと広がりました。困難な状況でもポジティブに行動できる人間になりたい。そんな思いを深める一歩にもなりました。


シャチ活の成果イベントに参加できなかった心残りは、ゼミ活動で必ず果たす!

厚沢部町の魅力を多くの人に伝えなければと意気込んでいたにもかかわらず、実はイベント当日、発熱してしまったのです…。大切な日に不参加だなんて、痛恨の極みでした。大げさかもしれませんが、それくらい厚沢部町の魅力を120%PRしたい、それを果たすことが自分の役割だと思っていました。だからこそ、3年生のゼミで取り組む恒例イベント「龍谷寺道了カルチャーマーケット」への出店は、最後までやり遂げたいという強い思いで進めています。


私が所属するのは、禅学を専門に研究する清野先生のゼミ。清野ゼミの面白いところは、何と言ってもカルチャーマーケットを経験できることです。地域振興・活性化を目指した日進市のイベントへの出店とあって、企画からマーケティング、運営まで社会に出た時に役立つ経験を実践できる上、「禅・仏教の文化を現代に」というコンセプトにもワクワクしました。

どんな企画で出店するかは、ゼミ内でチームごとにプレゼンテーションをして決めます。ちなみに昨年は、ブッダの故郷であるネパールの伝統的な食べ物、シェル・ロッティをアレンジしたオリジナル揚げパン「シャカ・パン」を販売。イベント全体で1500人を超える来場者数も相まって、大盛況だったそうです。前回同様の賑わいを目指すとなれば、自然と気合いも入ります。

私のチームは3人で、それぞれがやりたいことを話し合う中で出たのが、鮎の塩焼き、よもぎ団子、花。これに禅語の「花発無根樹 魚跳万仞峰(なはひらく むこんのじゅ うおはおどる ばんじんのみね)」を当てはめ、魚=鮎の塩焼きと、花=よもぎ団子に食用花を添えた形で表現することにしました。ディスプレイも連動させて、宗教文化が伝わるように考えました。


この商品企画を実現すべく、入念に準備したのがプレゼンテーションです。企画のコンセプトや商品の内容がいかにイメージしやすく、わかりやすく伝わるか、デザインアプリを使って見やすいスライドを心がけました。ボランティアサークルの活動で資料作成には慣れていたので、ここで活かさない手はない!と、メンバー全員で共同制作し、納得感が出るように情報収集も徹底して作りこみました。

プレゼンテーション当日、審査員は清野先生、会場である龍谷寺の方、スポンサーの方の3人。他のチームの企画は、編み物を作る過程と禅における精神統一を紐づけたものや、新品の服もこ゚縁があって古着として再活用される輪廻を表したものなど、バラエティ豊かなものばかりでしたが、企画に向き合った時間と熱量は負けていないはず!と、堂々とプレゼンしました。審査発表では「4チームのうち、コンセプトが1番しっかりしていたのが君たちのチームだったよ」と好評をいただき、私たちの企画が採用されたのです。この経験がプレゼンテーション能力を向上させるきっかけになりましたし、苦手意識を持っていた人前で話すことも臆せずでき、自信が生まれたように感じます。


自分という人間の「土台」を豊かにしてくれた挑戦の数々は宝物。

これまでボランティア、シャチ活、ゼミ活動などに取り組み、経験した全てを次に活かしたい、成長のきっかけにしたい、という思いが生まれたことで、新たに挑戦するエネルギーになっていきました。
喫茶店での接客やスポーツジムの受付のアルバイト、学部学科の魅力を受験生に紹介するPR大使、サークル引退後は資格取得にも取り組み、秘書検定準1級とコミュニケーション検定上級にも合格しました!


また、車なら1時間のところを片道2時間かけて電車で通学するのも大学生になって初めての経験でした。この苦労を解消したい一心で、合宿で自動車免許を取得。車通学になり、時間も効率よく使えるようになりました。いろいろな挑戦をするためにはスケジュールを管理する力が不可欠で、先のことを考えながら計画的に動く力が身につきました。これは、これからの人生で自分を支える大きな力になっていくことは間違いありません。


ご縁のあった大学で、挑戦して、私だけの花を咲かせる。

3年生の4月から始まったカルチャーマーケットの活動は、10月がイベント本番。企画立案した私たちのチームが中心になり、当日に向けて他のゼミ生と協力し、時にはリーダーとして全体をまとめたり、各所との連絡調整に奔走しながら、準備で大忙しの毎日です。とにかく成功させたいと心から思っていますし、きっとこの大きな経験を最後までやりきれたら、就職活動や卒業研究という大きな山も乗り越えられる気がしています。

高校時代を振り返ると無鉄砲そのものだった好奇心旺盛な性格は、大学生になってみると様々なことに挑戦する原動力になり、考える力、準備力、突破力が備わって、無敵になった気がします。大学の進路選択で迷走し、葛藤した時期もありましたが、あの時だからこそ感じたピュアな思いは、貴重な感情だと思って今も大切に抱えています。そして、愛知学院大学との出会いをこ゚縁だと思って受け入れたことで、想像を超える貴重な経験の数々を引き寄せることができました。今まさに進路選択で迷っている皆さんも、不安をワクワクに変えて乗り越えてほしいですし、きっと心持ち次第で、いろいろな経験がキラキラと輝く時間に変わっていくはず。私自身、残り少ない大学生活の中で、まず就職活動に全力で取り組んで納得のいく結果を残すことが目標です。無事に終えることができたら、もう1度海外に行って純粋に楽しんで、ギュギュッと濃縮した大学時代を過ごしたいと思っています!


これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
リクエストください。

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