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2022.03.07
在学中に起業し、SNSサイト「ALaCart」から
イラストレーターを輩出。メタバースに多様性を。
経営学部 経営学科 4年森田 樹 さん
さん
本学経営学部で学ぶ森田樹さんは、在学中に学んだ企業経営のノウハウを生かして起業を決意します。そしてバーチャルYouTuberの誕生や最近注目を集めるメタバースなど、昨今のイラスト業界の変化に着目し、イラストレーターを支援するSNSサイトを創案。数々のビジネスコンテストにエントリーしながらブラッシュアップし2021年12月に起業、2022年のサービス開始を目指しています。
新しいビジネスのアイデアを立案し、ビジコンで入賞!
子どものころから夢が大きくて、小学生のころは総理大臣になる!なんて話していました。でも大きくなるにつれ、起業して自分のアイデアでビジネスを始めてみたいと思うようになりました。そこで故郷・沖縄を離れ、視野を広めようと選んだのが愛知学院大学経営学部です。特待生制度があることも知り挑戦したところ、目標どおり特待生として合格。入学式では新入生の代表にも選ばれました。
実際に学んで良かったと思うのは、3年次までに企業経営のメカニズムから組織マネジメント、会計のノウハウまで理論をしっかり学び、4年次からそれらを駆使し実践できたことです。私は4年次に油井先生の「経営管理実習」などを受講し、イラストを販売するSNSのビジネスモデルを立案。いくつかのビジネスコンテストにエントリーしながら、プランを磨きました。そして2021年12月には、キャンパスベンチャーグランプリ中部で「中部圏社会経済研究所賞」を受賞。そして同月、受賞したプランをもとに起業することができました。
イラストレーターを応援するSNS「ALaCart」をスタート!
私が準備しているのは、イラストレーターが作品を持ち寄り、公開できるSNS「ALaCart(アラカート)」です。私自身もアニメーションやイラストなどのコンテンツが好きですし、友人にもイラストを描いている人がいます。2020年度のコミック市場は6,126億円にも上り、前年比23%UPの巨大な市場です。しかしながら自分の描いたイラストで収益を得ることのできるイラストレーターは決して多くなく、6割ものイラストレーターがイラストで収入を得ることができていないというデータがあります。そこで無名なイラストレーターにも光を当て、応援できるSNSサイトの設立を思いついたのです。
「ALaCart」ではイラストを売るのではなく、個々のイラストレーターを応援できるシステムを導入します。いわゆる投げ銭といわれる方法で、100円からお気に入りのイラストレーターを応援できます。これにより、駆け出しのイラストレーターであっても収入を得ることができ、創作活動が継続可能になる人が増えます。多くの若い才能が開花し、多くの人に知られるようになるまで、モチベーションを維持できるのではと考えています。
図書館には、多くのビジネス書があり、参考になります。
会社設立を通じて学んだのは「逃げないこと」。
「ALaCart」の設立準備を通じて学んだのことは、たくさんあります。大学生活を振り返ると、私はそもそも自己表現が苦手でした。心の中では大きな夢を抱いていても、それを他者に伝えることができませんでした。そんな私を変えてくれたのは大学の先生方。たとえば、ゼミのプレゼンテーションでは私の至らないところを何度も指摘され、自分が本当にやりたいことを表現し、伝えることの大切さを教えてもらいました。
起業の準備も初めて経験することばかりで苦労の連続です。油井先生にも「生半可な気持ちでやるな!」と何度も檄を飛ばされました。でも自分の夢に向かっていると思うと楽しくて、ワクワクするのです。どんなにしんどくても諦めない、逃げない。99%の安定よりも、1%でもチャンスがあるならそれに賭けてみよう!そう思いながら準備を進めました。
PC環境も充実。ノートPCの貸し出しサービスもあります。
「MagiCulture」その社名に託した思い。
「ALaCart」を運営する会社は「MagiCulture(マジカルチャー)」と名付けました。magical(マジカル)という言葉には「魔法の」というだけでなく「魅力的な」という意味があり、culture(カルチャー)をより魅力的にしていくという思いを込めました。
日本のアニメーションやマンガ、イラストレーションは海外でも高い評価を得ています。しかし先に述べたようにイラストレーターとして生計を立てることができるのは一部の人たちに限られています。そこでイラストレーターを志す人にたくさんのチャンスを提供することで、日本が誇るアニメーションやイラストレーションをもっともっと魅力的にしたいと考えています。
またネットワーク上の仮想空間・メタバースは、これからさらに発展すると思います。そこではアバター(自分自身の分身)を用いた自己表現・自己実現が可能になります。たとえば、自分に自信がない人、外見にコンプレックスを抱いている人なども仮想空間においてアバターを介すことで、よりその人らしく生きることができるかもしれません。そして現実世界とは違う新しい自分になりたいとき、その思いに応えるのは一人ひとりの思いに寄り添うことのできる個性豊かなイラストレーターです。多くのイラストレーターを「ALaCart」から輩出することで、仮想空間の多様性を拡げることができたらと考えています。