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#028

2024.02.14

Sカレ2022で総合優勝! デザイン思考から生まれた「KASATATSU」。

経営学部 経営学科坂 晃成 さん

経営学部 経営学科浦野 実咲 さん

2023年10月に開催された、実際に商品化をめざす大学ゼミ対抗の商品開発コンテスト「Sカレ(Student Innovation College)」の2022総合優勝戦。全31大学36ゼミ168チームのなかから見事に総合優勝に輝いた経営学部 油井ゼミの坂さんと浦野さんに、ゼミでの学びや優勝に至るまでの経緯について、お話を伺いました。


Q.はじめに、油井ゼミを選んだ理由はなんですか?また、どのようなことを学びましたか?

坂さん:もともと起業に興味があったので、油井ゼミでは製品・サービス開発に関する知識やビジネスについて学べることを知って、入りたいと思うようになりました。
ゼミでは、ベンチャービジネスなどについて学びながら、産学連携プロジェクトやSカレのようなイベントに積極的に取り組んでいます。とくに「0から1を生み出す」がキーワードの“デザイン思考”が油井ゼミの学びの軸となっています。デザイン思考とは、身近なものからユーザーが潜在的に不便だと感じていることを見つけ出す考え方です。そして、その問題を解決するためにアイデアを出しあうことで、私は自分にはない視点を身につけることができました。

浦野さん:私はゼミ選びで悩んでいたのですが、商品開発など実践的な取り組みが多いことに惹かれて、油井ゼミを選びました。
私にとっても、デザイン思考を学べたことが大きなポイントだと感じています。消費者の気持ちを考えることが習慣化したことで、相手が何を求めているかを意識してコミュニケーションを取れるようになりました。

Q.お二人がSカレで開発したのはどのような商品ですか?

坂さん:私たちは傘の自立補助アイテム「KASATATSU」を開発しました。傘の先端に取り付けるだけで、簡単に傘が自立するようになり、これさえあれば傘立てがない場所でも安心です。シリコンゴム製のため重さは50グラム程度で、サイズも卵ひとつ分くらいなので、持ち運びしやすいのもアピールポイントです。

Q.「KASATATSU」はどこから着想を得たのでしょうか?

浦野さん:アイデアを思い付いたきっかけは本当にたまたまでした。Sカレでは8つの企業からそれぞれテーマが出題されており、私たちのグループは旭電機化成株式会社の「暮らしに役立つ便利商品」部門にチャレンジしました。「暮らしに役立つ商品」を開発するためには、「暮らしのなかの不便さ」を見つける必要がありますが、当初はなかなか課題を見出せずにいました。

転機となったのは、ある雨の日のことです。いつものように教室に入ると、傘が机に立てかけられていたり、床にそのまま置かれていたりと、傘立てがないことで多くの学生が傘の置き場に困っていることに気づきました。その様子を見て、「好きな場所に傘を自立できる商品があれば、傘置きを気にする必要がなくなるのではないか」と考え、商品開発の方針が決まりました。

Q.そのとき、すでに「KASATATSU」の全体像は浮かんでいたのですか?

坂さん: いいえ、傘を自立させるという目的こそ同じでしたが、当時は今の商品とは別物を想定していました。
Sカレは秋・冬・翌年の秋の3回に分かれて開催されていて、最初に参加した2022年秋のコンテスト(秋カン)では商品のコンセプトをプレゼンします。そして、発表内容は各グループのSNSアカウントでも公開され、審査員の評価だけでなく、一般の人からの「いいね」の数も評価に含まれます。そのときの私たちのアイデアは、いいねの数だけでいえばテーマ内でトップでしたが、他の評価項目が一歩及ばなかったようで、残念ながら受賞することはできませんでした。

浦野さん:秋カンでの反省点をふまえ、使用する材質や形状、軽さなどを中心に最大限ブラッシュアップを重ねたことで、現在の「KASATATSU」がほぼ完成。冬のコンテスト(冬カン)では商品内容だけでなく販売戦略なども評価対象になるので、メンバーといっしょにプランを綿密に練り上げていました。そのがんばりが功を奏したのか、テーマ内で第1位を獲得。全テーマ総合でも準優勝を果たし、目標だった商品化を実現できました。

Q.準優勝した冬カンから翌秋の総合優勝戦までに、力を入れたことや苦労したことについて教えてください。

坂さん:オンラインで実施される総合優勝戦では、開発した商品の販売実績や当日のプレゼン内容が審査されます。優勝するには売上がとても重要になるため、とくにプロモーションに注力しました。SNSで商品の使い方や魅力を紹介する動画を投稿したり、プレスリリース用の記事を自分たちで作成し、マスコミ各社に持ち込んだりしました。実際に商品を使う様子をイメージできるようなPRこそが、販売促進に一番重要だと考えていたからです。その甲斐あってか、TikTokをはじめとしたSNSに投稿した動画が総再生回数50万回を超え、多くの人に「KASATATSU」について知ってもらうことができました。そして2023年9月末までに2,776個、約240万円を売り上げることに成功。初の総合優勝を成し遂げることができました。

浦野さん:私はグループのリーダーだったので、つい「自分がやらなきゃ!」といろいろな責任や業務を背負っていました。その結果、役割分担やコミュニケーションがうまくできておらず、そのせいもあってか冬カン終了後にメンバーが一人脱退してしまいました。それからは坂さん と「総合優勝戦に向けて何をすべきか」という方針を共有し、役割をちゃんと割り振るように。近況報告などを欠かさないようにするなど、コミュニケーションを意識して、やるべきことをスムーズにこなせるようにしました。

Q.最後に、入学前と比べて自分が一番成長したと思うことは何ですか?

坂さん:私はゼミ活動を通して、いろいろな考え方や価値観を受け入れられるようになったと思います。油井ゼミは基本的には3~4人ごとのグループ活動がメインなのですが、どのメンバーも芯の部分が強く、はっきりと自分の考えを持っているので、意見が食い違うことが多々あります。当初の私は少し頑固だったので、自分の正しさを理解してもらおうとしていましたが、ゼミでの学びを通じて、新しいものを生み出すためには多様な視点が大切だと気づきました。それからは、相手の意見を一度しっかりと受け入れるように。すると、自分とは全然違う価値観を“面白い”と感じられるようになりました。Sカレに挑戦したときも、自分の軸となる考えを持ちながらも他の人の意見を取り入れたことで、新しいアイデアを生み出せたのだと思います。

浦野さん: Sカレは時間もかかりましたし、坂さんと意見がぶつかったり、アイデア出しに悩んだりと、正直「もうやりたくない……」と思うほど、かなり大変でした。しかし、その分実践的で貴重な体験が多く、観察力や企画力、課題解決力などさまざまな力を高められたと思います。

なかでも身についたと実感できたのが行動力です。「KASATATSU」の商品開発にあたり、いろいろな傘の製造会社やメーカーに自分たちで連絡をとって、専門家の方からアドバイスをいただいたりしていました。マスコミへの訪問や通行人へのインタビューなどにも挑戦。知らない人に話しかけることや企業へのアポイントなど、以前の自分なら絶対できなかったと思うことに取り組んだことで、初めてのことに対する恐怖や不安が和らいだ気がします。この経験があったから、就職活動でも面接官に臆せず自分をアピールできました。

これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
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