#029
2024.02.26
興味の赴くまま、時の流れに身を委ねて歩んだ6年。広がる世界、広げる未来。
薬学部医療薬学科山瀬 寛大 さん
薬に関する興味本位から、薬学部に進学。勉強、研究、国家試験対策と多忙な日々を過ごしながらも、ホルン片手にさまざまな楽団を渡り歩いたり、薬学部コミュニティに参加したりと、活躍フィールドをどんどん広げてきた山瀬さん。その行動力、なにが彼を掻き立てるのか、山瀬さんにインタビュー。
薬学を学べば、なにか解決するんじゃないかと思った。
ラムネみたいな小さな粒を飲み込んで、なぜ熱が下がるのか、風邪の症状が治るのかと、小さいころからずっと興味を抱いてきました。年末年始に親族と集まる機会に、製薬会社に勤務している親戚に薬のことを教わっているうちに、「薬学を学べば、なにか解決するんじゃないかな」と。
実際に薬学は学べば学ぶほど自分の身になるし、相手に質問されたときの回答を考えながら自分自身も興味をもって勉強できるのはいいことだと思っています。
4年生で特待生に選抜。こんな俺でもできるんやな。
大学1年生のときから、「簡単に進級できるとは思わないでね」と口を酸っぱくして言われてきたからか、勉強は最初から真面目にコツコツと取り組みました。
模試で順位がわかるんですが、入学したてのころは下から数えたほうが早かったです。勉強が忙しくなってきたと同時にコロナ禍に入って、ずっと1人で勉強する日々が始まりました。かなり追いつめられましたね。
だから、4年生にあがるとき特待生の通知が来たときは、本当にうれしかった。コロナ禍であきらめずに2年生、3年生と勉強を積み重ねてきてよかったと思ったし、自信につながりました。「やりゃできるじゃん!」って。
特待生になったことで新たなプレッシャーも生まれましたが、「今日も全然できへんかったわ」という日は、「じゃあ明日頑張ろうや」って思えるような気持ちの切り替えもうまくなりました。
勉強しかない学生生活にはしない! Myホルン片手に外の世界へ。
大学1年生のとき、『愛知学院大学薬学部管弦楽団』に所属。
大学の勉強に集中することを前提に入団したので、1・2年生のころは勉強に無理のない程度、年1回の演奏会参加に留めていました。
でも、3年生になってコロナ禍真っ只中で部活動がなくなってから、勉強だけの生活が嫌で、個別で行動を開始!
実はそのとき勉強もめちゃくちゃ忙しいピークのときだったんですよ。春学期はずっと家にこもって勉強漬けだったので、その反動からかmyホルンを買って、自宅やカラオケボックス、公園にでかけて自主練習を始めました。ドラマみたいに橋の下で吹くことも。
最後の学生生活をみんなと分かち合う楽しさ無しで卒業してしまったら非常にマズイな。とコロナ禍のときに実感し、学内を飛び越えて『東海学生オーケストラ連盟』『名古屋ショスタコーヴィチオーケストラ』『フィアールカ管弦楽団』『Sheliakオーケストラ』などに参加し、演奏会を重ねました。
最後の演奏会を終えて今は勉強1本なんですが、肺活量を維持するためにランニングを始めました。とりあえず、やりだしたら止まらない人なんです。
活動している各楽団のオーケストラは、スポーツのような勝ち負けを決めず、「できたorできなかった」は自分自身が判断することが多いです。本番に最高の演奏ができるよう、それぞれのメンバーが日々練習して腕を磨き上げています。しかし、この力を十分にしたところで各パート内や全体で合わなかったら良い演奏にはなりません。個人でも、みんなとでもより良い作品を作り上げていく、そこに面白さがあると実感しています。
学外コミュニティに参加、東海エリアの薬学部生や薬剤師と交流を深める。
東海エリアにある他大学の薬学部生らが集うコミュニティにも参加しました。リーダーを決めずに所属メンバー全員が主体性をもって取り組みます。
薬剤師の方にも参加してもらい、実際の現場について話をしてもらったり、学生視点の意見を聞いてもらったりしました。
薬剤師の方と薬剤師を志す学生が交流する時間を作ることができて、僕としてはすごく満足しています。
この活動のなかで他大学の学生が学会に参加していることを聞いて、僕も名古屋で開催している学会をのぞいてみました。想像とは異なり敷居は高くなく、ふらっと立ち寄って、最新の研究成果を体験したり、学生だからこそ気軽に質問することができ、知識はもちろん人のつながりも得ることができました。
座学で学んだことを実践形式に、がんをテーマにした講座に所属。
愛知学院大学の薬学部には17講座あります。僕が惹かれたのは、『がんにまつわる研究』。死因の第一位を占めるがんについて研究解明していきたいという興味に従って選びました。
卒業研究は5年生9月から始まり、1年近くかけて卒業論文を仕上げます。ずっと研究室にこもって、検体の量や操作の時間を変えたり、先生と相談しながら試行錯誤を繰り返します。
根を詰めることもありますが、「よーし! ごはんを食べに行くぞ!」と号令がかかったり、メリハリのある研究室でした。
ひとりじゃない、ともに高めあう仲間がいる。ゼミ室が勉強部屋。
ハード面とソフト面をきちんと兼ね備えながら日々を過ごしていますが、ときには勉強に追い込まれて思い詰めちゃったりすることも。
僕はゼミ室で勉強をしているんですが、仲間の存在に助けられています。基本はそれぞれで勉強をしているんですが、夜になるとみんな立ち上がってホワイトボードに問題を出しあったりします。
みんなと一緒だとインプットだけでなくアウトプットもできるので理解も深まりますし、無言で勉強するよりは説明しながら勉強できるのは楽しいです。
アカデミックかつアクティブに何事も挑戦していきたい。
薬の効果や機能に興味があって入学した薬学部。4年生、5年生で、調剤薬局やドラッグストア、病院での実務実習を経験して、将来は人と直接触れ合う薬剤師として働きたいと心を決めました。
薬のやりとりに終始するのではなく、人の幸せそのものに関わりたい。日本の現状として少子高齢化があって、お年寄りになるとフレイルの状態になっていく、思うように体が動けなくなっちゃうというのがあって、それをきちんと支えていける薬剤師になりたいです。
薬のプロフェッショナルとして専門的な知識や技術が備わっていることは当然のこと、薬剤師にとって大事なのは性格、人を思いやる気持ち、相手の立場に立って考えられるかどうかということに帰着すると思う。薬剤師が発する言葉ひとつで患者さんをうれしくさせることも、不安にさせることもある。
薬の効果はもちろんのこと、患者さんの幸せには薬剤師の人としての温かさ、優しさというのも大事になってくる。いま調剤薬局でアルバイトをしながら薬剤師さんのやりとりを見聞きしながら勉強しているところです。
これからも僕はアカデミックかつアクティブに何事も挑戦して、人として成長していきたい。