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#044

中学時代の担任の先生との出会いがきっかけで、「教員」になるという目標を持ち、大学進学を決めた寺田さん。しかし高校・大学受験ともに希望通りにいかず、ネガティブになることも多く、大学進学後も辛い日々が続きました。そんな寺田さんを大きく変えたのが、混声合唱団グリークラブや信頼できる先生との出会い。ポジティブさを取り戻した寺田さんのもとには、様々なチャレンジが舞い込み、目標の実現を確かなものにしていきました。寺田さんが大学生活で得たかけがえのない経験の数々と、教員として踏み出すこれからについて、文学部日本文化学科のある日進キャンパスでインタビューしました。


傷ついた分、信じられる人に出会い、目指したい道が決まった。

私が大学進学を目指した理由。それは「教員になる」という目標を叶えるためです。中学1年生の時、友人関係がうまく築けず、学校に行くことが苦痛になりました。そんな当時の言葉にならない辛さや胸の内をとことん聞いてくれたのが、担任だった新任の先生でした。苦手だった数学を教えてもらう中で、悩みも相談してみると、決して否定することなく、ただひたすら話を聞いてくれた先生。そんな親身な姿勢と、たくさんのあたたかい言葉に心が救われました。小学生の時に同じような経験をした際には、「先生」という存在を信じることができなかった私が、信じられる先生に出会い、考え方が変わったのです。「こんな先生もいるんだ。私も教員になりたい」と。教員免許を取得するため、大学進学が揺るぎない進路になりました。


環境の変化などで後ろ向きだった大学1年次。苦手だった「英語」に救われた?!

高校生になると、教員養成系教育学部のある大学を第1志望として、ひたすら勉強しました。地元・愛知での進学を考えていたため、教育学部以外で教職課程が取れる私大も複数受験。第1志望の国立大学は想像以上に難易度が高く、結果、合格は叶わず…。最終的に第4志望だった愛知学院大学(文学部日本文化学科)へ進学を決めたものの、想像以上に挫折感が大きく、マイナスな気持ちから大学生活が始まりました。

とはいえ、「教員になる!」という思いは変わらなかったため、将来に役立つと考え、オープンキャンパスなどのイベントを手伝う広報スタッフに参加。大学生になって初めての挑戦でした。一方で、ひとり暮らしによるホームシックや、祖母2人が立て続けに他界したことで、気分の落ち込みが加速…。泣いてばかりで前向きになれない状況が続く中、好転するきっかけがありました。学部学科の専門科目とは別に、基礎学力を向上させるための教養科目の講義で、必修の英語を受講した時のこと。ディズニー映画を見ながら英語を学ぶスタイルで、内容は吹替版などを見て知っていた分、「このセリフって、英語ではこう表現するんだ!」と、点と点がつながるような面白さを感じたのです。正直、ずっと英語は嫌いだったのですが(苦笑)、もっと知りたいと前のめりになれた講義でした。


「何もせずに大学生活を終わりたくない!」と実感してからは、持ち前の行動力を発揮!

ますます英語に興味が出てくると、自然と質問が生まれるようになり、担当の山下先生を尋ねる機会が増えました。先生は私が沈んでいる様子を感じ取ったのか、勉強に加え、大学生活についても気にかけてくださいました。話してみると心がふーっと軽くなるのを感じ、いつものように質問に行ったある日「一人でいるのが怖いから、友達たくさん欲しいんですけど…」と何気なく相談したんです。すると「エっ?友達って、そんなにたくさん必要?」という想像の斜め上をいく回答。拍子抜けして思わず笑ってしまい、全身の力が抜けるようでした。

大学生活に対して「大勢の友達とワイワイする」というイメージを持っていましたし、無意識のうちに「自分で何とかしなきゃ」と気負っていたのかもしれません。中学・高校と様々な先生方に支えてもらった日々を思い出し、大学でも「人」に救われる経験をして、少しずつ前向きさを取り戻す中で「やりたいことをやらなきゃもったいない!」というスイッチが入っていきました。

▲山下先生の講義をきっかけに挑戦した、大学内にある国際交流センター主催の『スピーチの祭典』。愛知高校の生徒と愛知学院の学生が参加し、複数のテーマから選んで自らの思いや視点から英語でスピーチします。「自分を変えるきっかけにしたい」という思いがあって、2年・3年次と連続で参加しました。


偶然?それとも運命?好きだった「合唱」に吸い寄せられて入部したグリークラブ。

クラブ・サークル活動も、大学生になったらやりたいことの1つでした。初めは高校時代に所属していた部活の延長でテニスやバドミントンを候補にしていましたが、私が決めた活動スタンスは「ゆる〜く楽しむ」。これらはややハードそうだったので、別の視点で探してみる中で、中学時代に音楽の授業を通して好きになった「合唱」を思い出したんです。合唱曲ならではの心にグッと来る歌詞とメロディ。さらに一人ひとりの声が重なって、全員で1つの曲を作り上げていく過程から生まれる一体感。歌い上げた後の高揚感が大好きなんです。

早速、合唱に関わる部活・サークルがないかと検索してみると「混声合唱団愛知学院大学グリークラブ」を発見!興味津々で訪ねると、先輩たちが温かく受け入れてくれて即入部を決めました。のんびりとゆるやかに、好きな合唱曲を歌って過ごす大学生活を想像し、ワクワクして入部しました。まさか2年後、大学生活最大とも言える試練と、喜びと、達成感を味わう経験が待ち受けていようとは…。この時は夢にも思いませんでした。


クラブ創団70周年の歴史においても前例がほとんどない、団長と正指揮者の兼任。

グリークラブの「歴史」を実感したのは大学3年次のこと。15人ほどの少人数ということもあり、団長と正指揮者を引き受けることになりました。ところがその年(2024年度)は、創団70周年の節目の年。さらに、毎年3月に行う演奏会も60回目を迎える記念演奏会という位置づけで開催することが決まったのです。これまでの演奏会では10〜20曲ほどを披露していましたが、今回は26曲。そのうち指揮を担当する曲も別で練習しながら、団長として演奏会や他のイベントなどに向けて練習会場の予約、チラシやパンフレットの作成・印刷、団員への各種連絡・調整・段取りなど、全て同時進行しないといけませんでした。全員を1つにまとめなければという団長としての責任と、演奏会を成功させねばというプレッシャーを感じながら、ある日いつものように学院会館(練習場所)に行くも、誰一人として団員が来ていなかったんです。

悲しさと怒りが入り混じった気持ちが涙になって溢れ、その日は活動を中止して帰宅しました。失意のどん底でしたが、冷静になって振り返ってみると、団長として目の前の運営や練習など「やるべきこと」に追われるあまり、大事なことが抜け落ちていました。団員が活動したいと思えるクラブになっていなかったこと、OB・OGの方々にとっても意義深い演奏会であることを伝えきれていなかったこと、モチベーションを高めるつもりでやってきた声掛けが全体的な甘えにつながってしまったことも一理ありました。演奏会の開催まで残り半年。クヨクヨしている暇はありませんでした。これを機に、言うべきことはしっかりと言う方法にシフト。前向きな言動と真摯な姿勢を見せることで、クラブを1つにまとめていこうと決意を新たにしました。


グリークラブだけでなく、様々なチャレンジの原動力は「教員になった時のため」。

歌って、指揮して、汗して、泣いて、笑って。2025年3月に開催した「創団70周年第60回演奏会」では、友人、家族、先生方をはじめとする多くのお客様に聴いていただき、たくさんの拍手に包まれ、これ以上ない達成感を味わいました。お世辞にも完成度が高い演奏だったとは言えないかもしれませんが、1つの目標に向かって全員で全26曲を完成できたこと、団長と正指揮者を全うした喜びはひとしおでした。

そして無事に終わって楽屋に戻ると、私宛に一人では持ちきれないほどの花束やお菓子、その他様々な差し入れが所狭しと置かれていました!両手いっぱいに抱えて歩いていると、OGの方が「ここまで頑張ってきた証だね」と声をかけてくださったのです。

お客様の前で披露するからには、少しでもクオリティの高いものを聴かせて感動させたい。団長や正指揮者としての責任感が、必ず成功させたいという強い気持ちを持ち続ける原動力になり、自分がやれることはすべてやりきりました。そしてOGの方の言葉のおかげで、これまでの自分の頑張りを初めて認めることができました。大学生活の中で見つけた私らしくいられる場所、グリークラブ。「教員になる」という大きな目標を叶えるための土台になる様々な力を培うことができました。


▲2年次にはグリークラブの活動に交換留学生のみなさんが参加し、交流しました。

▲大学内でプレゼンテーションNo.1を決定する大会「P1グランプリ」。グリークラブの団長として合唱の魅力発信とともに、演奏会への来場者を増やすべくプレゼンテーションをさせていただきました。


辛かったことも、歯を食いしばった経験も、すべてが夢への糧になる。

グリークラブの活動や関連行事以外にも、数え切れないほどたくさんの挑戦をしてきました。教員になった時に役立つであろう経験や、誰かのサポートになる取り組みを軸にチャレンジしてきましたが、どれも自分が「やってみたい」と思ったものばかりです。例えば、卒論整理や卒業式準備のアルバイトに始まり、留学生チューター、情報処理教育センターのSA、次代を担う支援者養成研修、にっしん夢まつりボランティア、山田高校での大学生座談会、中部合唱コンクールのボランティア、大学の150周年記念のイベント(I LOVE アイガク)のスタッフなど。自ら見つけてきたものもあれば、様々な経験をする中で顔見知りになった大学職員の皆さんやお世話になった先生方、友人などから声を掛けられたものも少なくありません。やればやるほど楽しくなって、常にスケジュールがぎっしり。4年次になっても週5で大学に来るほど、愛学が大好きになってしまいました!

▲交換留学生との交流をきっかけに、留学生活をサポートしたいという思いが芽生え、3年次の4〜9月まで学習と生活面を支援する留学生チューターになりました。コミュニケーションをとる中で、各国の文化や習慣などに触れ、教員になった時に役立てられそうな、外国にルーツを持つ子どもたちへの対応の勉強にもつながりました。

▲2025年度入学式の新入生歓迎セレモニーでは、新入生や保護者の方々など約2000人を前に、大学生活の過ごし方についてスピーチさせていただきました。緊張してどんな話をしたのか記憶がないほどですが、在学生の中から選んでいただいたことは本当に嬉しく、忘れられない経験になりました。

▲受験生や中高生に向け、愛知学院大学の各学部学科の魅力を学生目線で広報するPR大使。文学部日本文化学科の先生に「PR大使になりたい!」と伝え、4年次の5〜12月の期間、夏のオープンキャンパスなどで活動しました。


そして、大学4年間の集大成でもある卒論は、かなり苦労しながら取り組んでいます。私が所属するのは、家族社会学が専門の竹下先生のゼミ。教育社会学でも家族社会学でも、「社会学」に関わるテーマなら何でも研究できるということで、文学部日本文化学科ではありつつも、教育に関わる内容を研究したかった私には願ってもないチャンスでした。卒論のテーマは『学校におけるいじめの問題性と解決策に関する社会学的研究』。辛かった経験を振り返ることになりますが、教員になった時に役立つことは間違いないですし、卒論を通じて客観的にいじめについて捉え、アウトプットすることで少しずつ乗り越えられているように感じます。

▲4年次は、本格的に始まる卒論執筆に向けてテーマに関連する様々な書籍を読んで知識を深めながら、教員採用試験対策も行い、とにかく勉強漬けの毎日。採用試験は無事合格し、時間にゆとりができましたが、残りわずかとなった大学生活を悔いなくやりきるべく、過去に受講した講義を再履修中です。成績上位者は卒業式で表彰されるとあって、さらなる成績アップを目指して取り組んでいます。

▲文学部日本文化学科の教職科目の1つ『書道科教育法』。受講する全学生が毎年出展しているという「愛学院書展」には、3年次に初出展し、4年次も出展に向けて準備しました。アクティブに動き回る日々の中で「書」に向き合う時が、唯一心落ち着く時間になっています。

▲愛知学院大学の社会・地域連携活動「シャチ活」の一環で『大学生と夏休みの宿題をしよう!』というイベントの企画運営を行いました。教員を目指す私にとって、子どもたちと関わる経験はとても貴重であり、6歳離れた妹の面倒をみてきたこともあって子どもが大好き。夏休み中の子どもたちの学習サポートと、保護者が安心して預けられる場所にすることを目的に、子どもたちの「わかった!」や「楽しい!」が増えるように取り組みました。


中1の頃から目指してきた「教員」になるという夢。叶えてもなお、挑戦は続く。

1年次から参加している教採合格者報告会では、いつも「聞く」側でしたが、合格した4年次の秋には晴れて「報告する」側となりました。自分が経験したすべてを伝えたいと思ったのは、教員を目指す後輩たちの役に立ちたかったから。私自身、上手くいかなくても「大丈夫」と励ましてくれた先生や職員の皆さんが大きな支えになったことは言うまでもありません。おかげで失敗を恐れず、邁進できました。

中学・高校に続き、「出会い」に救われた大学生活。挑戦するたびに、教員になりたいという気持ちは揺るぎないものになり、ひとつひとつやり遂げるたびに、目指したい教員像が具体的になっていったように感じます。もし、目の前の辛さに立ち止まったまま4年間を過ごしていたら、「教員になる」という夢は叶わなかったはずです。

卒業後は、愛知県の公立高校の教員として一歩踏み出します。教員として、また一人の大人として、高校生たちには自分の好きなこと・やりたいことを見つける後押しができる人間でありたいと思っています。中学・高校時代は何事にも自信がなく、常にウジウジと考えて行動に移せませんでした。そんな自分に先生たちは寄り添ってくださり、そのおかげで、中学では合唱コンクールでの指揮者、高校では生徒会活動に取り組みました。さらに大学ではグリークラブの行事、団長と正指揮者の兼任、教員になった時に役立つことをしようと留学生チューターや子どもたちに関わるボランティア、次代を担う支援者養成研修や高校生との座談会、学内外での数々のアルバイトや広報スタッフの活動、教職課程や教員採用試験の勉強など、おかげで行動力、持続力、柔軟性を身につけることができました。なかなか踏み出せない子どもたちの気持ちがわかるからこそ、寄り添える教員になりたいですし、これから進学を目指す皆さんには、「挑戦も失敗も、恐れないで大丈夫」という言葉を贈りたいと思います。

挑戦するには勇気がいりますし、失敗することの方が多いかもしれません。それでも恐れず、腐らず、頑張る姿は、誰かが必ず見ているもの。第4志望での入学だったけど愛知学院で過ごした大学生活のおかげで「揺るぎない自分」を作ることができました。思い立ったら、まず一歩。挑戦する楽しさをぜひ大学生活で経験してください!


これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
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