
#011
時代を超えて次の世代まで
「私も食べたことがある」を
プレジデント
安部 隆三 さん
商学部 卒業
愛知県出身。大学時代は友人とさまざまな場所へ足を運ぶことで知見を広げつつ、父の会社で社員と一緒になって業務をこなし、卒業時には職人と同じ仕事ができるまでに技術を身につける。1977年共親製菓株式会社へ入社、「フルーツの森」など定番商品の命名に携わる。
愛知県名古屋市西区名西一丁目15-2(第一工場) https://kyoushin-s.co.jp/
「愛される共親のお菓子を社員みんなで作り続ける」「愛される共親のお菓子」をモットーに創業以来、さくらんぼ餅やスティックゼリーを中心に様々なお菓子作りに邁進。国内全域からアメリカやオーストラリア、カナダ等海外にもグローバルにお菓子を提供している。
会社を経営する上で大切にされていることはありますか?
「私たちは幸せになります」これは朝礼時に唱和している言葉で、「社員がお互いに能動的になりましょう」という意味です。会社は人が仕事をする場所であって、会社そのものが仕事をしているわけではないですよね。会社に行って仕事をするから給料になる。みんなが活躍し、給料を稼ぐ場所を提供するところが会社なんですよ。そのため、仕事のしやすい職場環境、良好な人間関係の熟成を大切にしています。実際、離職率は社会保険労務士の先生から驚かれるほど低いですよ。

お菓子に込める思いについて教えてください。
まずお菓子には、「時代に合ったお菓子」と「世代に合ったお菓子」があります。時代に合ったお菓子は、その時々に流行ったお菓子。世代に合ったお菓子は、子供のころはよく食べたけど大人になるとあまり食べなくなるお菓子や、子供の時はあまり食べないけど大人になったらよく食べるようになるお菓子のことです。世代に合ったお菓子が好きな人は必ずいるので、流行を追いかけるばかりでなく、世代ごとで需要のあるお菓子を作ることを大切にしています。木に例えると、「世代に合ったお菓子」が大きな幹で、その時々の「時代に合ったお菓子」が枝という考え方です。流行だけを重視すると、去年と今年だけでもまったく違うものを作らなければいけないことになるし、世代に合ったお菓子もその時代に合った食感などに改良する必要があります。つまり、世代に合ったお菓子づくりと時代の流れをバランスよく組み合わせることが、ずっと愛され続けるために必要なんですよ。今あるお菓子を伝統だからと作り続けるのではなく、時代に合わせて変化させていくことを大切にしています。

学生に向けてメッセージをお願いします。
なんでもやってみてください。また、とことんまわりの人の世話になってください。その時、世話になった人にお返しをする必要もありません。実際、先輩に何かおごってもらった時に、じゃあ次は僕が何かおごりますとはならないじゃないですか。おごってもらった時は、「ありがとう」って伝えるだけでいいんです。その代わりに自分がだれかを世話したり、何かできることがあった時はそれをやってください。私は、それを「恩送り」と言っています。恩を送ることで、人と人がつながっていくんですよ。今の時代の人間関係は、昔よりも薄くなってしまっている気がします。私は人との関係、つながりって大切だと思うんですよ。人は誰かの助けがなければ何もできないんです。いろんな人と会うことや話すことは大事にしてほしいですね。一生懸命頑張ってください。