MENU

#019

2023.02.20

ふとしたきっかけで始めた簿記の勉強。あの時は税理士を目指すなんて思ってもみなかった。

商学部商学科3年生後藤 元哉 さん

税理士は難関国家資格の一つであり、難易度の高さや実務経験が必要になることから大学卒業後、3年~5年かけて合格するのが一般的だといわれています。しかし、現在の税理士業界は若くして活躍できるチャンスがあるので、これから大学を目指す皆さんにも挑戦してほしいと語る後藤さん。なぜ税理士になろうと思ったのか、難関資格と言われる税理士の勉強にどのように向き合ってきたのかインタビューしました。

コロナ禍の大学生活。ただ時間だけが過ぎていく。

高校生までのわたしは特に将来やりたいことがなかったので、その時の成績で入れそうな大学を選んで受験しました。しかもわたしが大学に入学したときはコロナ禍の真っただ中。授業はオンラインのみだったのでずっと家に籠っていました。

やりたいことがなく、ただ時間だけが過ぎていく日々でしたが、10月になってようやく通学できるように。オンラインで友だちになった同期生と初めて会ったときに「このままでは何も残らないから資格でも取らない?」と誘われました。

そのときタイミングよく申し込みできる資格が2021年2月に行われる日商簿記検定試験の3級だったのでそれに申し込みました。簿記の勉強をしたことがなく本当にタイミングだけで決めたので、このときはまさか自分が簿記の勉強に夢中になるなんて思ってもみなかったです。

簿記の勉強が面白い!まさか勉強に目覚めるとは思わなかった。

日商簿記検定試験に申し込んだ後もしばらくの間はまったく勉強していませんでした。同期生に「勉強進んでる?もうすぐ試験だよ」と急かされて、さすがにちょっとは対策した方がいいかなと思い何となく勉強をスタート。

簿記の知識はまったくなかったので、はじめはもちろん難しかったですが、少しずつわかることが増えてくると「意外と面白いかもしれない」と感じるようになりました。

もともと暗記が得意だったこともあり、単語を覚えると財務諸表を読んだり分析したり「できること・わかること」が増え、簿記の勉強にはまっていきました。

税理士か公認会計士。どっちを目指す?

日商簿記検定試験の3級は一発合格。この頃になるとすっかり簿記の面白さに魅了されていました。もっと簿記の勉強を深めるために専門学校にも通い、2021年6月に2級、2021年11月に1級を受験してすべてストレート合格できました。

せっかくここまで知識を付けたから、更に高みを目指そうと思い「税理士」か「公認会計士」のどちらかに挑戦しようと考えました。どちらも簿記の延長線上にある資格ですが、内容はまったく異なります。

簡単に言うと「税理士」は税の専門家。知識や資格が必要な税務・会計関連の業務を経営者の代わりに行います。納税額を算出したり、決算書などの書類を作ったり、時には経営を良くするためのコンサルを行うなど、業務は多岐にわたります。
一方で「公認会計士」は会計の専門家。企業の財務状況を示す財務諸表を作ったり、それを監査したりします。

若い人が活躍できるチャンスがある税理士業界。

税理士も公認会計士もどちらの仕事にも興味がありましたが、税理士の業界は若い人が不足している状況だと知り、税理士に興味が湧きました。

公認会計士の平均年齢は25.5歳と若い人が多い傾向があり、税理士の平均年齢は60歳以上といわれるほど高齢化が進んでいます。若い税理士が必要とされているのであれば税理士の方がやりがいがあるかもしれないと思い、税理士になることを決意しました。

そして、将来の方向性が決まったのでゼミ選択では決算書を読み解き、企業のデータ分析を行っている野口ゼミを選択し、将来税理士として活躍するために簿記や会計の知識を深めることにしました。

ゼミでは、実際の企業が公表している会計情報を用いて企業分析を行っています。

税理士試験とは?

税理士試験は全部で5科目の試験に合格する必要があります。試験科目は下記の通り。

『会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。』(引用:国税庁 税理士試験の概要)

各科目とも満点の60%が合格基準となりますが、その中で更に上位10%~15%しか合格できな相対評価による競争試験です。税理士試験の合格率は各科目10%~20%程度。1科目ずつ受ける人もいれば、2科目以上まとめて受ける人もいます。

わたしは1年でも早く合格するために、必須科目の2科目の他に選択科目としてまずは「国税徴収法」を受けることにしました。「国税徴収法」は主に税務署に務める人が使う法律なので実務で活かす場面は少ないですが、勉強のボリュームや合格しやすさを最優先に考えてこの科目を選びました。

1日の勉強時間は7時間!空き時間も有効活用して。

税理士試験の受験を決意してから試験までの期間は7カ月。
大学と平行して週に2回専門学校にも通い、勉強時間として1日7時間はとれるように工夫しました。当時はアルバイトもしていたので、休憩などの隙間時間や通学・通勤時間も活かして時間を見つけては勉強する日々でした。

大学の授業と合わせて税理士の勉強をすることは大変でしたが、苦痛に感じることはなくむしろこの状況を楽しんでいたので、目標に向かって勉強を続けられました。

幸いなことに会計に関する2科目は簿記と通ずることが多く、一から勉強する人よりアドバンテージがあったということもあり、「簿記論」「財務諸表論」「国税徴収法」の3科目にストレート合格できました。

大学の図書館をよく利用しています。きれいで静かな場所なのでとても集中できる環境です。

3科目にストレートで合格することは異例!ゼミ生初の快挙!(野口先生からのコメント)

「税理士試験のことを知らない人にとっては難易度がわかりにくいと思いますが、実は1科目に合格するのも至難の業。

受験初年度で1科目に一発合格するだけでもすごいことですが、後藤君の場合は3科目もストレートで合格したので、大変驚きました。今までたくさんのゼミ生を見てきましたが、3科目にストレートで合格したのは彼が初めてです。

税理士になるためには5科目に合格する必要があります。どの科目も難易度が高く、合格まで何年も要するのが一般的であり、平均で8年程度ともいわれています。「2年で合格可能」という謳い文句を見ることもありますが、実際に2年で合格する人はほんの一握りであり、10年以上かかる人も少なくありません。

そんな中、大学在学中に3科目、しかもストレートで合格することは極めて異例です。彼は2023年8月に残りの2科目を受験しようとしているので、もし合格できたら異例のスピードで合格することになります。大学在学中の5科目合格は、愛知学院大学ではもちろんのこと税理士業界でもかなりの偉業を達成することになるので、これからも彼の合格を応援したいですね。」

税理士の資格も持っている野口先生にはゼミのことや試験のことなどたくさん相談させていただいています。

将来は税理士として開業したい。目標に向かって突き進む。

今は選択科目の中の残りの2科目として「法人税」と「消費税」の勉強をしています。この2科目を選んだ理由は実務的であり就職にも活きると思ったから。

税理士になるには実務経験が2年以上必要なので、卒業後は就職して実務経験や実績を積み、将来的には税理士として開業することを目標にしています。資格は勉強して終わりではなく、実務に活かすことが大事だと思うので、どのように仕事に生かすのかという視点も意識して勉強しています。

就職・開業という将来の夢はありますが、まずは2023年8月に行われる試験で2科目に合格して2年で5科目にストレートで合格することを目標にして勉強に邁進しています。

商学部は名古屋中税務署で務める卒業生による出前授業を受けられます。

若くして活躍できるチャンスがある業界。これから大学を目指す皆さんにも挑戦してほしい。

普通科の高校では税理士や簿記について触れることはほとんどないので、その仕事や勉強にピンとこない人が多いと思います。しかし、税理士業界は若手の力を必要としているので、若くして活躍できるチャンスがある業界です。

また2023年度から受験制度が大幅に変更になるので若い人も受験しやすくなります。今までは「日商簿記1級合格」などの要件を満たしていないと大学3年生からしか受験資格を得られませんでしたが、2023年から会計科目についてはその要件がなくなるため、高校生から税理士試験を受験できるようになります。少しでも早く受験できれば、大学在学中に合格できるチャンスが増えます。

何を勉強したらいいかわからない、将来のために何をしたらいいのかわからないという人は一度簿記や税理士の本を手にとってみてください。簿記と税の知識が無駄になることはないので、少しでも興味があれば挑戦してみてほしい資格です。

高校とは大きく変わる大学の学び。

「勉強」と聞くと「面白くない」「嫌なもの」というイメージを持つ人が多いと思います。わたしも高校まではそうでした。自分にとっては高校生までの勉強は面白いと思うものがなく、「できた」と感じられる科目もなかったので、勉強を楽しいと思ったことはありませんでした。勉強した先にあるものや達成感がなければ勉強がつまらなく感じるのは無理もありません。

しかし、簿記や税理士の勉強を通して小さな成功体験を積み重ね、実用的な目標があると勉強は面白いものに変わることに気づきました。わかることが増えるとシンプルに面白いですし、お金の知識は人生に関わると言っても過言ではないので、無駄になることがなくやり甲斐もあります。

特に簿記の勉強は、成功体験を積みやすかったです。例えば単語や意味を覚えると、決算書が読めるようになります。すると企業の財務状態や強み、課題などがわかるようになります。ただ覚えるだけではなく、覚えた先に「理解できること」、「活かせること」があるという点も勉強にはまった理由の一つです。

ゼミ活動の一環で参加した愛知企業分析ディベートで熱戦の末、勝利しました!

大学は何を選択するかすべて自分次第。挑戦することを忘れなければ将来の道が開かれる。

目標の道筋を作りやすいというのも勉強を続けられたもう一つの理由です。資格は合格したら完結することが多いですが、簿記は3級⇒2級⇒1級とステップを踏んで挑戦できます。そしてその先は会計士や税理士という資格につながり、最終的に仕事に活かすことができるので、モチベーションを維持しやすいと感じています。

大学では何を勉強するか、何を選択するのかすべて自分次第。勉強はもちろん部活やサークル、アルバイト、課外活動などやりがいを感じることや力を入れることは人それぞれです。愛知学院大学にはさまざまなことに挑戦できる環境があるので、得意なことや興味があることに挑戦するうちに「これだ」と思うことがきっと見つかります。

これから大学を目指す皆さんには行動することを忘れず何でも挑戦してみて欲しいと思います。
わたしも大学で見つけた将来の夢を実現させるために、まずは在学中に5科目ストレートで合格できるよう、次の試験に向けて全力で頑張ります。

これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
リクエストください。

リクエストする!