MENU

#021

2023.03.27

宗教学を学ぶことで雅楽への理解を深める。雅楽とダンスを通して音楽に国境はないことを実感。

文学部 宗教文化学科 4年生 宮永 安珠 さん

宗教文化学科で宗教を学ぶことで小学生の頃から続けてきた「雅楽」とのつながりを知り、演奏の仕方が変わったと語る宮永さん。雅楽の知識を深めたことで「日本の文化を海外にも伝えたい」という夢を抱くようになりました。その夢を実現させたときのエピソードと大学4年間で力を入れてきた競技ダンスの部活のことをインタビュー。充実した大学生活を送る宮永さんを紹介します。

1000年以上前から愛され続ける日本の音楽。

皆さんは雅楽を聴いたことがありますか?言葉では聞いたことがなくてもテレビや寺社などで、華やかな和装の装束を着て演奏しているところを見たことがあるのではないでしょうか?

雅楽は日本固有の音楽が、中国大陸などから伝来した芸能の影響を受け、平安時代に完成した音楽のことで、世界最古の音楽芸術とも言われています。

わたしが雅楽と出会ったのは小学校5年生のとき。友人から誘われて雅楽部に入部し、そのときにたまたま空いていた楽器が「龍笛」という横笛でした。それをきっかけに今でも龍笛を演奏しています。小学生のときはまさかこの先10年以上続けることになるなんて思いもしませんでしたが、色々なご縁があり今まで続けてこられました。

龍笛は7つの指孔と息の使い方を組み合わせて2オクターブの音を奏でます。

雅楽師として有名なあの方と共演したことも。

小学校を卒業してからは複数の楽団に所属して演奏しています。雅楽は吹奏楽やオーケストラのようにコンサートなどを主催して演奏するのではなく、寺社の儀式やイベントなどに招待されて演奏することが多いです。

今までたくさんの場所で演奏してきましたが、印象に残っている演奏会の一つが岡崎市の市制100周年イベントに参加したときのことです。ソロパートがあったり、雅楽師として有名な東儀秀樹さんとも共演させていただいたり、普段なかなかできない経験ができたので、その時のことは今でもよく覚えています。

遠征をきっかけに歴史を知る。

雅楽は演奏そのものもさることながら、色々なところに遠征できるのも楽しみの一つ。例えば神社で演奏するときは「神楽殿」という一般の方はなかなか入ることができない場所で演奏することがあります。神社によって建物そのものの構造に違いがあるところは面白いと感じますし、神社ができた由来などを知ると趣を感じられます。

最近では「どうする家康」という大河ドラマの舞台となった安城市の「本證寺」という場所で演奏しました。浄土真宗の人たちが徳川家康と戦った場所で、家康の人生の中で最大の苦境の一つとも言われている場所です。演奏の機会がなければ「本證寺」に行くことも、どのような歴史がある場所なのか意識することもなかったかもしれません。

このように歴史のある場所で演奏できることを光栄に思いますし、遠征に行くことで知った歴史や文化がたくさんあり、雅楽をきかっけに学んだことは数知れません。

偶然つながった雅楽と宗教。

わたしが宗教文化学科に入った理由は、出身校で勉強していたキリスト教のことと好きなアニメの両方を勉強できると思ったから。宗教は「人類の知恵の宝庫」とも言われていて、芸術や音楽のルーツと関わりがあるので、映画やアニメが研究のテーマになることもあります。

高校1年生のときに参加したオープンキャンパスで宗教とアニメの両方が勉強できることを知り「この学科に入りたい」と強く思いました。そのため、特に雅楽を勉強しようと思って選んだわけではないのですが、偶然にも雅楽と宗教がつながったことで演奏の仕方が変わりました。

例えば「新嘗祭」で演奏するときは、神様に豊作を願うために一つ一つの動作に意味があることを知りました。今までは楽譜通りに、言われた通りに演奏するだけでしたが、意味を知ることで表現の仕方や意識の持ち方が変わったと感じています。

この学科に入っていなかったら今でも言われた通りに演奏するだけだったかもしれません。演奏者として知識やものごとの背景を知ることの大切さを学ぶことができたのは、宗教文化学科ならではだと思います。

オープンキャンパスでは宗教文化学科のPR大使として龍笛を演奏しました。

日本の文化を海外に伝えるために。

雅楽や日本文化の奥深さを知り「日本の文化を世界に伝える」ことが夢になりました。

わたしは子どもの頃、父の仕事の関係でハンガリーに住んでいたため、現地に住んでいる友人がいます。大学卒業前にその友人に会いに行く予定を立てていたので、現地で龍笛の演奏ができないか、さっそく友人に相談。ハンガリーは路上演奏が盛んに行われているので、自分の中ではそれをイメージしていたのですが、いつの間にか話が膨らんで、友人がイベントや学校など6ヵ所で演奏できるように企画してくれて驚きました!

せっかくの機会なので少しでも雅楽に興味を持ってもらえるように、成り立ちや宗教との関わりなどをパワーポイントの資料にまとめて、さらに装束も準備しました。

演奏会では実力不足な演奏にも関わらず、涙を流しながら「演奏会とてもよかったよ」と声をかけていただけてとてもうれしかったです。
演奏会は多いときで1日に約100人の方に参加していただくことができました。

ついにはテレビ取材までくるほどの大ごとになり緊張しましたが、夢が叶った瞬間であり、「音楽に国境はない」ということを実感できたかけがえのない経験になりました。

ハンガリーでの演奏会にはたくさんの方に参加していただくことができました。

高校に訪問したときは日本のお菓子を配ってコミュニケーションをとりました。

4年間打ち込んだ競技ダンス。

大学生になってからも雅楽は続けていましたが、同じように力を入れて活動したのは競技ダンスの部活です。

競技ダンスのことを初めて知ったのは、高校生の頃に見たあるテレビ番組。初めて見る競技ダンスはとてもかっこよくて「わたしもあんな風に踊りたい」と思っていました。そのため、愛知学院大学には競技ダンス部があることを知り「入学できたら絶対に入部する」と決めていました。

今はダンスが流行っていて子どもの頃からダンスをしている人が多いので、自分のような初心者がダンスサークルに入るのはハードルが高そうだと思っていました。しかし競技ダンスは「紳士淑女のダンス」ということもあり大人になってから始める人が多く、同期生と一緒に一からダンスを学べるので、初心者のわたしでもすぐに部活に溶け込むことができました。

競技ダンス部のメンバー。ドレスと燕尾服で華やかに。

ダンスが楽しい!何よりも時間を割いて練習!

入部してみると想像していた以上に楽しい!もともとダンスに興味があったので、踊れるようになることが純粋にうれしく、更に練習をするほどできることが増えていったので競技ダンスにどんどんはまっていきました。

練習は週2回。水曜日の18時~21時と土曜日の9時~20時までですが、プライベートでも週3回レッスンに通っていたので、ほぼ毎日練習していました。勉強とダンスの両立で忙しい日々でしたが、楽しくて毎日時間が過ぎるのがあっという間でした。

日進キャンパスの練習場で猛練習。

コロナ禍でもできることを精一杯楽しむ。

念願の競技ダンス部に入部できましたが、新型コロナウイルスの蔓延でしばらくの間活動を休止することに。思うように活動できない時期が続きましたが、いつでもダンスを再開できるように、仲間と一緒にオンラインで練習したり筋トレをしたりして、たくさんコミュニケーションをとってコロナ禍でもできることを楽しんでいました。

競技ダンスはペアを組んで踊るものですし、試合は限られた空間に色んな大学の選手が集まって密になってしまうので、コロナ禍の影響を大きく受けた部活の一つです。2年生~3年生のときは新入生歓迎会ができなかったので、新しい部員が入らず、練習も試合もできないという苦しいときもありました。しかし今の自分にできることに注力することで、何とかこの時期を乗り越えられました。

初めてのオンライン練習会!練習の後の雑談会も楽しかったです。

こだわりの衣装。よりダンスを楽しむために

競技ダンスではより美しく華やかに見せるためにドレスやメイクも重要。ドレスはレンタルもできますが、わたしは思い切ってオーダーで作りました。こだわりのポイントは色と素材。わたしは小柄な方なので、身振り手振りを大きく見せられるようにフレアーな素材をふんだんに使い、好きな明るい色を組み合わせました。オーダーのドレスはフィット感が全然違いますし、思い入れがあるので着るだけでテンションが上がります。

メイクは先輩方に教えていただいて、YouTubeやSNSを観ながらたくさん練習もしました。メイクとドレスで普段とは違う自分になれるので、ドレスに袖を通すと気持ちにスイッチが入って、よりダンスに集中できるようになります。

お気に入りのオーダーのドレス。たくさん着られるように大切にしています。

コミュニケーションの難しさ。ダンスを通して学んだこと。

競技ダンスは一人ではできません。だからこそパートナーとのコミュニケーションが大切になります。しかし、家族以上に長い時間を過ごす中、ダンスへの思いの違いからすれ違いが生じ、ときには衝突してしまうことも。「これ以上パートナーを続けられないかもしれない」と思う時期もありましたが、それを乗り越えて今では阿吽の呼吸でダンスできるようになりました。

競技ダンスは「男性がリードして女性がそのリードに従って美しく踊る」という役割があります。大会は決められた区画の中で複数のペアが同時に踊るので、男性は他のペアとぶつからないように周囲を見て女性をリードなければなりません。一方女性は男性のリードを感じとりながら、踊りにも集中しなければならないので、どちらにとっても簡単なことではありません。

競技中は言葉で伝えられない分、パートナーは微妙な力加減やルーティンを変えることで指示を出し、わたしはそれを汲みって踊る。ときにはわたしがパートナーをサポートする。衝突と仲直りを繰り返しながら、お互いのことを考えて3年かけて二人のダンスを作り上げていきました。

意見を言い合うだけではなく、お互いの考えや気持ちを汲み取って歩み寄る努力をするということは、ダンス以外のコミュニケーションでも大切なことだと思います。

3年間一緒に苦楽を共にしたパートナー。

一人ではできないことも二人だからできる。

競技ダンスはお互いを信頼しなければ成り立ちません。高いヒールの靴を履いて思いっきり踊れるのも、難しいポーズをとることができるのも、相手を信頼しているからこそ。2人で練習を重ねた結果、2022年5月に富山県で行われた「2022年度東海北陸ブロックダンススポーツ選手権大会」ではB級で優勝、A級で7位に入賞することができました。

その他にもたくさんの大会に出場して良い成績を残すことができ、4年間頑張ってきたことを結果につなげることができました。大変な時期もありましたが、3年間パートナーを組んでくれたことに心から感謝しています。

「2022年度東海北陸ブロックダンススポーツ選手権大会」で記念撮影。

ハンガリーでダンスレッスン!言葉がわからなくても伝わるダンス指導。

ハンガリーに行ったときに競技ダンスでチャンピオンをとったことがある指導者に直接ダンスレッスンをしていただきました。

英語は苦手ですが、翻訳しながらSNSで連絡をとってなんとかアポイントをとることに成功!世界のトップ選手が通うレッスンスタジオで一緒に練習をさせていただき、あまりのレベルの高さに圧倒されました!トップ選手のダンスを間近で見るだけでも動きの機敏さや安定感の違いなど学ぶことが多かったですが、先生から指導していただいたときは、あまりのわかりやすさにびっくりしました。

言葉が通じなくても一緒にダンスすることができたので、音楽とダンスは国境を越えて楽しめるということを実感できました。

ハンガリーのダンス教室で撮影。

心から充実していたと感じる大学生活。

大学生活は本当に充実していました。宗教を学びながら好きなアニメを関連させて論文を書くことができましたし、大学や学科の魅力を伝えたい一心で学科のPR大使も務めました。

勉強、雅楽、競技ダンスとたくさんのことに打ちこんだ4年間。楽しすぎて卒業したくないと思うほどです。社会人になることに対して不安がないと言えばウソになりますが、これからも雅楽と競技ダンスを続けたいと思っているので、社会人になったら大学時代とはまた違った充実感を感じられるのではないかと期待しています。

愛知学院大学は自分の好きなことや興味をとことん追求できる大学です。毎日を充実させるコツは好きなことに夢中になること。これから進学を目指すみなさんも、自分の興味に素直に従って充実した毎日を過ごしてほしいと思います。

これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
リクエストください。

リクエストする!