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#048

2026.10.14

心理学を知ってありのままの自分を受け入れ、
やりたいことに突き進む力が生まれた。

心理学部 心理学科アティンカヤカハラマントゥルク晴輝 さん

日本とトルコ、2つのルーツを持つアティンさん。自らのアイデンティティについて悩んだ時に支えになったのが「心理学」でした。考え方や物事の捉え方について気づきと前向きさを与えてくれた心理学は気持ちの面で支えとなり、大学生の今は、やりたいことを楽しんでありのままに生きる道標になっていると言います。また「お笑い」もアティンさんにとって自分の持ち味を引き出すきっかけになり、大学入学後はお笑いサークルに所属。学業とお笑いを両立しながら、プロの漫才師を目指して活動中です。「やりたいことにとことん夢中」な大学生活を過ごすアティンさんに、心理学部のある日進キャンパスでインタビューしました。


「自分は何者なのか」と、アイデンティティに悩んだ小学生時代。

日本生まれ・日本育ちですが、自分のルーツのことで、同級生や周囲とうまく馴染めなかったことがきっかけで、小学4年生の春から1年半ほど父の故郷であるトルコに住んでいました。父がトルコに住む叔父に相談してくれ、日本人の母と弟と一緒にトルコへ移住。叔父の家でお世話になりながら学校に通い始めました。ところが驚いたことに、同じ壁にぶち当たったのです。環境を変えても、接する人が変わっても受け入れてもらえない「自分」。どう生きていけば良いかますますわからなくなり、インターネットでその原因を探ると「集団心理」という言葉が出てきました。集団心理とは、人が集まると周りに合わせて同じ行動や考え方をしてしまう現象のこと。そして、魚類学者のさかなクンが新聞の連載でいじめについて語った「狭い水槽で魚を飼えば攻撃や仲間外れが起きるけど、広い海に出ればいじめは起きない」という言葉に深く共感しました。これまで自分の身に起きた全ての事象がつながったようで、腑に落ちたのです。おかげで他人の言動があまり気にならなくなりました。

その後、頼りにしていた叔父が事故に遭ってしまい移住生活は終わりましたが、考え方や生き方を前向きにシフトする言葉や心理学の存在を知って、帰国後の学校生活では深刻に悩むことなく過ごすことができました。


進路選択の決め手は、心理学をビジネスの観点から学べるカリキュラム!

中学で夢中になったバスケットボールを続けるべく、高校ではバスケ部に入部しました。ところが入部直後の練習試合で、前十字靭帯断裂と半月板を損傷。1年間「運動不可」という診断を受けました。やりたかったことができなくなり、部活のメンバーとも距離ができ、結果的に退部。熱中できるものを失い、時間を持て余すぼんやりとした日々の中での唯一の楽しみは、テレビでバラエティ番組を見ることでした。特に「しゃべり」で人の心を鷲掴みにする芸人さんが好きで、気持ちを明るくしてくれる存在に助けられていました。

その後、身近な人が楽しく大学生活を送っていることに触発され、3年時の進路選択では大学進学を目指すことにしました。小学生の頃から興味を持っていた心理学に加え、自営業を営む父の影響もあって経済学や経営学も検討。方向性がなかなか定まらずに悩んでいると「誰かのための選択じゃなく、自分の気持ちが向く方に挑戦すれば良い」と父に背中を押されました。

やっと決心がつき、愛知県内で心理学部のある大学を調べると、情報・ビジネスに役立つ心理学を学べる愛知学院大学が目に留まりました。他大学は福祉の現場で活用できる心理学が多いなか、データを使って人と物・サービスを効果的につなぐ「ビジネスに役立つ心理学」に心惹かれました。そこで総合型選抜の「高大接続型入試」に挑戦。残念ながら不合格でしたが、「このままではこの先も受からないぞ」という担任の先生からの喝で奮い立ち、苦手な英語も徹底的に学習し直しました。愛知学院大学の心理学部に入りたい一心で、次は学校推薦型選抜に挑み、無事に合格することができました。


日常生活につながる心理学の効果や身近さに直結する授業に夢中になった。

心理学部の授業の魅力は、日常生活に役立ち、応用できる学びが多いこと。自由に仮説を立て、統計や実験を通じて検証するプロセスは納得感が高まり、より面白さを感じます。特に印象に残っているのは、所属するゼミの坂野先生の授業『製品評価の心理学』です。製品評価の心理学とは、製品の質、使いやすさ、見た目などを消費者がどう感じるのかを評価して製品の魅力や価値につなげるもので、授業では人間の視覚の仕組みや実例などから評価方法について学びました。その中で参加学生が各々気になった心理学の効果についてプレゼンする時間がありました。

皆は「人はなぜ”お得”という言葉に弱いのか」「黄金比が美しいと感じる理由は何か」といったテーマで発表したのですが、僕はちょっとした実験を仕掛けました。プレゼン内容は目の錯覚(錯視)を応用した広告について。その広告には、歯が汚れたおじさんと違和感のある子どもが載っているのですが、全員が注目したのは歯の汚さ。実は、横にいる子どもの違和感については誰も発見できなかったのです。そのことを実証したくて僕自身、発表中に白いマスクから黒いマスクへ変えたのですが、全く誰も気づきませんでした。人は何か1点に注目してしまうと周りの変化や違和感に気づきにくいということをプレゼン中に試したことで、説得力のある伝え方を体験できた時間になりました。

同じく坂野先生の『感性工学』の授業も興味深く、「心地よい」「高級感」といった目に見えない人の感情や感性を分析して製品のデザインやサービスなどに活かす学問の基礎として、視覚の特性などを学びました。日常生活にあるあらゆるものが心理学とつながっていて、その役割の大きさをあらためて感じました。
他にも、情報・ビジネス分野の産業・組織心理学『リーダーシップ論』も面白かった授業の1つです。絶対的なリーダーや全員の意見を聞いてまとめてくれる人を「良いリーダー」と捉えがちですが、結論は、良いリーダー像は「1つではない」ということ。状況によって必要とされるリーダーの特性が異なるからです。受講しながらこれまでの自分のリーダー経験と照らし合わせ、「なぜうまくいったか・いかなかったか」を言語化できたことはとても有意義でした。ちょうど僕自身サークルでお笑いコンビを組み、年下の相方を「引っ張る」立場だったこともあって、授業の内容がより心に響いたように思います。


思いがけない出会いをきっかけに、お笑いに本気で取り組んだら「夢」ができた。

愛知学院大学にお笑いサークル(あまりりす)があると知ったのは1年次。ドイツ語の授業で隣になった学生からお笑いに誘われた時でした。部活やサークルに入りたいと思っていましたが、まさか自分がお笑いサークルに入るなんて…と思う間もなく入部して活動が始まっていました(笑)。誘ってくれた学生と人生初のコンビを結成!1年ほど活動した後、2年次は複数のユニットコンビを組み、3年次には他大学でお笑いをやっている1学年下の現在の相方と「双葉エイル」を結成しました。

当初はそれぞれボケとツッコミが決まらず試行錯誤しましたが、世の中の問題に対して、2人がそれぞれ全く違った方法で解決しようと互いに突っ込み合う「Wボケ・Wツッコミ」のしゃべくり漫才を確立。このスタイルがハマったのか、結成して1ヵ月で出場した『M-1グランプリ』では1回戦突破!全体の約8割がここで敗退してしまう中で、上位20%に残れたことは大きな自信になりました。

その後、東海エリアの学生が参加するお笑い賞レース『東海学生演芸大賞』に初参加し、出場121組中ベスト8に入賞!まさか自分がお笑いで舞台に立つなんて高校時代は想像すらしていませんでしたし、心理学で学んだ説得力ある伝え方や授業を通して磨いてきたプレゼン力がお笑いで役立つとは…ライブを重ねるごとにお笑いへの気持ちは「好き」から「本気」へと加速していきました。

▲コンビ名の「双葉エイル」の”双葉”は自分たちのスタイルであるWボケ・Wツッコミを、発芽した時に最初に出る2枚の葉になぞらえ、”エイル”はアティンさんと相方ともに9月生まれということで、トルコ語で9月を意味するエイルルの「ル」を1つ取って決めたそう。


▲『東海学生演芸大賞』の審査員の方から参加を打診された『東海テレビアナウンスコンテスト』。対象は全国の大学生・大学院生・短大生・専門学校生ということで挑戦しました。参加者は、有名大学に通いながらアナウンサーやリポーター、役者などを目指す同世代の学生たちばかり。自己紹介や想定問答などを徹底的に準備し、自分の強みを明確に理解している様子に刺激が多かったそうです。アティンさんは3次審査を通過し、最終審査で特別賞を受賞しました。


心理学もお笑いも、思い切って飛び込んだから「好き」が深まった4年間。

卒業研究でも「お笑い」をテーマに取り組んでいます。内容は『漫才の視覚情報によって高まる面白さ』について。漫才を(1)映像のみ(2)音声のみ(3)映像+音声の3つの条件で視聴してもらい、それぞれの条件でどれだけ面白かったかを点数化する実験をしています。さらに(3)映像+音声の場合、(1)と(2)の点数の合計よりも面白さが増すかどうかを検証中です。所属するゼミの坂野先生は、お笑いや落語に対する知識と理解を持っている先生で、テーマを伝えた際「興味深いですね」と言って背中を押してくださいました。先行研究がほぼないオリジナルテーマのため検証結果が明確に出るのか未知数。面白さを強調する固有名詞や表現などによる点数への影響を排除するため、多数のサンプルが必要で苦労していますが、先生の言葉のおかげで粘り強く取り組むことができています。

大学に進学したおかげで授業やゼミ、サークル活動、様々なコンテストへの出場で多くの人と出会い、視野を広げることができました。大学に進学するまでは、自分がどういう人間で、何をやりたいのかよくわからずに過ごしていた時期もありましたが、お笑いサークルに入ったことで「やりたいこと」に対する探求心が高まりました。お笑いの世界にチャレンジし、ネタづくりも独学で自分たちの強みを面白さに変えられるように工夫し、緊張しながらも舞台に立ち続けています。大学で学業と両立しながら経験を積み重ねてきたおかげで、将来「お笑い」の世界で勝負していこうと腹をくくることができました。


大学での経験や出会いを経て、これから進路を選択する皆さんに伝えたいのは、好きなことや興味を持った分野があるなら、心の向かうままに進んでほしいということです。僕自身、これまでは好きなお笑いに対して「見る側」で十分楽しいと思い込んでいました。好きだけど「自分がやるなんて」と無意識に線を引いてしまったり、本気で取り組んで嫌いになってしまうのが怖かったからかもしれません。しかし、自分のアイデンティティを見出すきっかけになった心理学を学ぶために愛知学院大学に進学し、思いがけず誘われたお笑いに思い切って飛び込んだことで、2つの興味を深めることができました。一歩踏み出すことを迷ったり悩んでいる皆さんに勇気を与えられるように、これからさらに本気で「お笑い」に挑戦する姿を見せ続けたいと思います。【双葉エイル】を見ていてください!


これからも愛知学院大学のホットなトピックスを配信して行きます。
お楽しみに!
また今後、取り上げてほしいテーマなどありましたら、
リクエストください。

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